ベトナム政府は、銀行融資を緩和し、市場の成長を促進するために法律、土地、行政の問題に取り組むことによって、不動産部門を後押しすることを目指しています。

2023年10月末、ファム・ミン・チン首相は、国内の不動産セクターの活性化を目的とした抜本的な改革に関する通達を発表しました。この指令は、ベトナムの広範な社会経済目標に不可欠な、安全で強固な不動産市場を奨励することを目的とした一連の措置の一部です。

首相は、金利の引き下げや不動産融資など、前向きな変化が見られるとする一方で、法的な問題、土地の割り当て、価格設定、行政手続きにまつわる根強い問題に取り組むことが急務であると認めました。

具体的には、首相はベトナム国家銀行（SBV）に対して、商業銀行が不動産融資枠を強化し、融資プロセスを簡素化し、場合によっては金利を引き下げるよう指導するよう指示したということです。デベロッパーとバイヤー、双方がスムーズに融資にアクセスできるようになることで、よりダイナミックな市場と全体的な成長の促進を期待しています。

新たな指令の下、SBVと建設省（MoC）は、プロジェクト承認と資金支出を迅速化することを目指し、社会住宅向けの信用プログラムを改良するために協力しています。

さらに、10月末のMoCの報告書では、ベトナムにおける不動産事業への融資が顕著に増加していることが明らかになっています。8月31日までに、不動産セクターの融資残高は約416億ドルに急増し、2022年後半から23.3％増加しました。

第3四半期の財務諸表では、大手銀行全体で法人向け不動産融資が堅調に伸びている一方、個人向け住宅融資は伸び悩んでいることが明らかになりました。

VPBankでは、不動産業向け融資が45％増の約41億4,000万ドルに急増し、融資総額の18.83％を占めました。対照的に、VPBankの住宅向け個人ローンの伸び率はわずか6.6％でした。

テックコムバンクも不動産業向け貸出が47.2％増と大幅に増加し、総貸出残高の34.63％を占めました。一方で、個人向け融資は9.2％減少しました。

MSBもこの傾向を反映し、不動産業向け融資が20％増加したのに対し、個人向け融資は5.8％の小幅な増加にとどまりました。

ハノイのディン・ティエン・ズン党委員会書記も、融資へのアクセスが重大な課題だとして、不動産セクターを強化するための解決策を提案しました。同氏は、銀行の流動性と企業の資金ニーズとの間の格差に焦点を当てています。ズン氏は、「銀行には資金がだぶついていますが、企業は資金に飢えており、資本へのアクセスは困難になっています。この不均衡を解消することは、生産活動を活性化し、停滞している不動産セクターを刺激するために極めて重要だ」と述べました。

また、ハノイでは700を超える不動産プロジェクトが遅延しており、なかには20年越しのものもあることから、市民の不安を引き起こし、都市の治安に影響を及ぼしていることを強調しました。

100以上のプロジェクトから数千ヘクタールを回収して競売と入札を行うという市の対応は、開発を開始し、市民の信頼を回復することを目的としています。

ヴィナキャピタルのエコノミスト、マイケル・コカラリ氏は、ベトナムの住宅セクターは重大なミスマッチに直面していると考えています。ミドルクラスによる手ごろな価格帯の住宅需要が急増する一方で、新築住宅ユニットの開発は追いついていない状況です。コカラリ氏は、この行き詰まりの原因を、国の煩雑な区画（ゾーニング）と承認プロセスにあると分析しています。

さらに、土地取得と建設にかかる資金調達の難しさが、プロジェクト開発を著しく遅らせています。

「以前からベトナムの金利は高く、デベロッパーにとってプロジェクトの資金調達は高コストでした。必要な政府の区画整理や認可を取得するのが困難なことも重なり、銀行が公的認可のないプロジェクトに資金を供給することを警戒するため、融資の確保は不可能に近いものとなりました」とコカラリ氏は付け加えています。

また一方で、「特定のプロジェクトを進めるために必要な認可を取得する際に、デベロッパーが直面している障害を取り除き、軽減するために、政府内で最近強化された取り組みがあることに注目しています。」とも述べています。

不動産開発と国家経済の健全性との間には否定できない関連性があります。しかし、不動産が経済に占める割合がはるかに大きく、GDP成長率により大きな影響を及ぼしている中国とは対照的に、ベトナムにおける不動産セクターのGDPへの貢献はわずかです。

従って、コカラリ氏は、不動産セクターの減速は、今年のベトナムのGDP成長率落ち込みの主要因にはならないだろうと述べています。

（出所：Vietnam Investment Review）

（画像：UnsplashのMinseok Kwakが撮影した写真）

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