[ベトナム] 3Q経済成長率2Qから加速も外需低迷で頭打ち

2023/10/02


2023年第3四半期、ベトナムの国内総生産(GDP)成長率は第2四半期から加速しましたが、金融緩和による下支えが輸出需要に影を落とし、今年の成長目標には届きませんでした。



ベトナム統計総局の発表によると、2023年7‐9月期のGDPは前年同期比5.33%増となり、第2四半期の4.05%増を上回りました。



経済調査会社キャピタル・エコノミクスは、ベトナム経済にとっての最悪期は脱したものの、過去の水準から見れば依然として低成長であると指摘しました。しかし、インフレが懸念されるものの、中央銀行による更なる利下げは期待できないとしています。



今回の第3四半期の経済成長率は、製造業主導のベトナム経済が、2021年の四半期ベースで6%縮小したのに続き、2022年はコロナ後の持ち直しに成功して記録した成長率13.71%から大幅に減速しました。



工場大国ベトナムは、昨年の8.02%から下げて、今年の成長率目標を6.5%としていますが、多くのエコノミストは達成が難しいだろうと予測しています。



9月に入って、国際通貨基金(IMF)は、ベトナムの今年の成長率を4.7%と予想し、アジア開発銀行は、4月に予想した6.5%から引き下げて5.8%と予測しています。それでもベトナムが、東南アジアの中で最も急成長している国であることに変わりありません。



ベトナム中央銀行は今年前半、成長促進のため政策金利を4回引き下げたましたが、電子機器、繊維、履物などの主要輸出品に対する世界的な需要の低迷により、企業は生産拡大を控えている状態です。



第2四半期のGDP成長率は4.14%から下方修正されました。



最新の成長率は、経済が「良好なトレンドにある」ことを示していると統計局は報告書で述べています。



9月の工業生産は前年同期比5.1%増、輸出は4.6%増でした。小売売上高は7.5%増加し、消費者物価は3.66%上昇しました。



ベトナム国家銀行の利下げと世界的な需要低迷が相まって、銀行システムには過剰流動性が生じています。



SSIリサーチ(SSI Research)によると、中央銀行は先週、流動性を吸収し為替レートを安定させるため、最大70兆ドン(28.7億ドル)の28日手形を発行しました。ドンの対米ドル相場は今年に入り約3%下落しています。




(出所:Reuters

(画像:UnsplashのMinh Luu (Minhluu.com & AA+Photography)が撮影した写真)