[フィリピン]主要金利を引き上げ、総裁は更なる引き上げを示唆

2023/10/31


フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas、BSP)は木曜日の緊急会合後、金融引き締めを再開、主要金利を25ベーシスポイント引き上げられ、6.5%となりました。この動きは、食料品価格の上昇に伴い、9月のインフレ率が前年同月比6.1%に加速したことを受けたものです。



エリ・レモロナ中央銀行総裁は、今回のオフサイクルでの25ベーシス・ポイントの利上げ後、予想以上に状況が悪化した場合、11月の次回金融理事会で基準金利の再引き上げを検討すると述べています。



BSPは、インフレは来年まで高止まりするとし、「インフレ期待が急激に高まっている」と指摘、ノックオン効果(連鎖反応)のリスクを強調しました。



レモロナ氏は、来年7月以降の物価上昇率は3%に緩やかになると述べた一方で、2024年前半はインフレ率が中央銀行のインフレ目標である2〜4%を上回ると予想していると付け加えました。



フィリピンのフェルディナンド・マルコスJr.大統領は、専門家が価格の歪みを引き起こす可能性があると警告した「価格上限」を課すことを決定したにもかかわらず、主食である米の価格は上昇し、9月の米価は17.9%増を記録しました。



米連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定やフィリピンのインフレ・データが待たれる中、BSPが利上げに踏み切ったことは、エコノミストらにとっても「サプライズ」となりました。しかし、レモローナ氏は 「金融引き締め政策が我々の成長見通しに影響を与えることを望んでいない 」と述べています。



国家経済開発庁のアルセニオ・バリサカン長官を含む政府高官は、以前から利上げはないと示唆しており、国の成長の勢いを損なう可能性があると主張していました。第2四半期の国内総生産(GDP)は4.3%と、金利高とインフレが経済に影響を与えたことで、過去12年間で最も減速しました。



アジア開発銀行も同様の懸念を反映し、最新の報告書ではフィリピンの成長見通しを6%から5.7%に引き下げています。




(出所:Nikkei Asia, Reuters

(画像:UnsplashのSian Labayが撮影した写真)