[マレーシア] デベロッパー各社、2020年をどう乗り切った?(2/2)

2021/08/30


不動産を購入するとき、不動産デベロッパーの評判は気になるものです。特にコロナウイルスの感染大流行が始まった2020年、各社はどう乗り切ったのでしょうか?前回の第1弾に続き、もう少しデベロッパー各社の当期純損益を見ていきましょう。


IGB Berhad(IGB)

2020年の純利益:925万リンギット(約2.4億円)


IGBは、PropertyAccessでもご紹介したStonor 3のデベロッパーTan & Tan DevelopmentとIGB Corporationの合併により誕生しました。マレーシアだけでなく、アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、米国で、レジデンシャル、商業、工業不動産の開発を行っています。


2020年第4四半期、IGBは1,044万リンギット(約2.7億円)の赤字に転落しました。ホテルおよび不動産投資業務の減益が原因です。通年では、2019年度の純利益2.09億リンギットと比較すると96%減の925万リンギット(約2.4億円)となり、売上高は、2019年度の14.4億リンギット(約374.4億円)から29%減の10.2億リンギット(約265.2億円)でした。


2020年度の減益について、IGB社は、リテールおよび商業物件の対象となるテナントについて、総額1億6,480万リンギット(約42.8億円)に相当する賃料支援を承認したことを挙げています。


現在進行中のプロジェクト:

The Office at Mid Valley Southkey、Menara Southpoint Residence、D’Laman Kundang


▶IGB Berhadのアニュアルレポート


(出所:The Edge Market



Gamuda Land(ガムダ・ランド)

2020年の純損失:-1734万リンギット(約-4.5億円)


2020年7月31日で終了した2020年度の第4四半期、ガムダ・ランドは、2019年の1.79億リンギット(約46.5億円)から赤字に転落、1,734万リンギット(約4.5億円)の赤字を出しました。同社の工業化ビルシステム工場が閉鎖したことで、資産の減損処理を行ったことによります。一方で、第4四半期の販売は、MCOの影響を受けた第3四半期の2.44億リンギット(約63.4億円)から急速に回復し、10億リンギット(約260億円)に達しました。通年では、2019年度の7億リンギット(約182億円)から、2020年度は47%減の3.7億リンギット(約96.2億円)でした。


現在進行中のプロジェクト:

Gamuda Cove, Gamuda Gardens, twentyfive.7, Kundang Estates, The Robertson, Jade Hills, Horizon Hills, Bukit Bantayan Residences


▶Gamuda Landのアニュアルレポート


(出所:Gamuda LandThe Malaysian Reserve



UEM Sunrise (UEMサンライズ)

2020年の純損失:-2.8億リンギット(約-72.8億円)


UEMサンライズは、マレーシア政府の戦略投資ファンド、カザナ・ナシオナルの旗艦不動産開発部門です。東南アジア最大のインテグレーテッド都市開発を目指す、ジョホール州イスカンダル・プテリのマスターデベロッパーです。2018年に創立50周年を迎えました。


2020年、UEMサンライズは、2億7,728万リンギット(約72.1億円)の損失を計上しました。一方で、2019年は、2億2,160万リンギット(約57.6億円)の黒字でした。売上高も29.1億リンギット(約756.6億円)から60.92%減の11.4億リンギット(約296.4億円)となりました。パンデミックに影響に加え、資産の減損処理を行ったことが、グループの採算性に影響したと説明しています。


セリ・ケンバガンのKAIA HeightsとチェラスのTaman Pertamaの2つの中所得層向け高層レジデンスの販売を計画しています。


現在進行中のプロジェクト:

Senadi Hills、Senadi Square、Aspira ParkHomes、Serene Heights Bangi、Residenci Alleviaなどを含む、イスカンダル・プテリのレジデンシャル開発を中心とした16プロジェクトおよび第三者との合弁による6プロジェクト


▶UEM Sunriseのアニュアルレポート


(出所:The Edge Market



SP Setia Berhad Group(SPセティア)

2020年の純利益:-3.2億リンギット(約-83.2億円)


70年代から操業するSP Setiaの代表的な開発には、Bandar Kinrara、Bnadar Baru Sri Petaling、Setia AlamやSetia Eco Parkなどがあります。


2020年、コロナウイルスによりグループの不動産開発、リテール、建設事業は大きく混乱し、2019年の3.4億リンギット(約88.4億円)の黒字から、2020年は3.2億リンギット(約83.2億円)の赤字に転じました。現場の工事は停止するか認められても労働力を制限して進められました。また、ジョホールのSky 88プロジェクト、ペナンのSky Vistaプロジェクトの在庫について減損約1.4億リンギット(約36.4億円)を計上しました。しかし、2020年の38.2億リンギット(約993.2億円)の販売を達成、同年の目標であった38億リンギット(約988億円)を達成しています。


現在進行中のプロジェクト:

Setia Eco Glades (Cyberjaya)、Setia Eco Park(Setia Alam内)、Arundia、Setia Eco Templer、Setia Mayuriなど48プロジェクト


▶S P Setiaのアニュアルレポート


(出所:Free Malaysia Today



Sime Darby Property Bhd(サイム・ダービー・プロパティ)

2020年の純損失:-4.8億リンギット(約-124.5億円)


2020年、サイム・ダービー・プロパティは4億7,880万リンギット(約124.5億円)の赤字に転落しました。2019年は5億9,853万リンギット(約155.6億円)の黒字でした。売上高は、31.8億リンギット(約826.8億円)から20.6億リンギット(約535.6億円)に35.22%減少しました。パンデミックにより、不動産開発、投資、アセットマネジメント、レジャーのすべての事業部門がパンデミックによる影響を受けて損失を出しました。不動産開発部門単独では、売上高は2019年の30億リンギット(約780億円)から35.9%減の19億リンギット(約494億円)に落ち込みました。これには、Battersea Groupの評価損3.37億リンギット(約87.6億円)の持ち分が含まれています。


現在進行中のプロジェクト:

City of Elmina、Bandar Bukit Raja、Serenia City、Nilai Impian、Bandar Universiti Pagoh、Putra Heights、Subang Jaya City Centre (SJCC)など36プロジェクト


▶Sime Darby Property Bhdのアニュアルレポート


(出所:The Edge Market

※日本円表記は、1MYR=26円で換算した参考値です。