[マレーシア] クアラルンプールの物価レベルはアジアの中でどのくらい?

2023/06/12


国際的な報酬体系の構築と管理を支援するデータ、計算支援、給与管理ソフトウェア、調査などを提供する、英国拠点の「ECAインターナショナル」が発表した最新の生活費分析によると、クアラルンプールは現在、アジアで35番目、世界では175番目に物価の高い都市となっています。



ジョージタウン、コタキナバル、ジョホールバルといった他のマレーシアの都市も、それぞれ189位、195位、198位にランクダウンし、小幅な減少にとどまりました。



ECAインターナショナルのアジア地域ディレクターであるリー・クエイン氏は、アジアの多くの都市がランキングを下げたのは、調査の対象となった他の地域と比較してインフレ率が低いことが一因であると述べています。



一方で、シンガポールは、2022年に家賃が大幅に上昇したことにより、今年ランキングを上げたアジアの数少ない都市の一つでした。シンガポールは、域内の他の都市との差をますます広げています。



シンガポールは、ECAが発表した生活費ランキングで8ランク上昇し、駐在員にとって世界で最も物価の高い都市第5位となり、初めてトップ5にランクインしました。この上昇の主な要因は、宿泊費の急激な増加です。



クエイン氏は、シンガポールが域内の他の主要都市と比較すると早くコロナの規制が緩和されたなどの要因で、賃貸住宅の需要が増加したものの、供給が適切に対応して増加しなかったと分析しています。



域内でシンガポールと同じく例外的に順位をあげたのは、ソウル(9位、+1)とヤンゴン(167位、+4位)でした。



クエイン氏は、 「シンガポールとソウルの上昇は、アジアにおける一般的な下落傾向に逆行するもので、その主な原因は宿泊費の大幅な上昇(ただし、ソウルは需要の増加ではなく、供給の制限による上昇)であり、ヤンゴンの上昇は、社会政治問題の継続により日常的な商品やサービスに大幅なインフレが生じたためだ」と述べています。



シンガポールに次いで域内で2番目に物価の高い都市であるバンコクは、13位下がり、世界で60番目に物価の高い場所となりました。バンコクは、物価上昇率が比較的高いにもかかわらず、過去12か月間のタイバーツが主要通貨に対して安くなったことで、インフレ率が通貨安に相殺される形になりました。クエイン氏は、このパターンが東南アジアの他の国でも中程度~高いインフレ率がインフレ率に相殺される現象が見られたと述べています。



域内の他の都市については、マニラが9ランクダウンして75位、ジャカルタは22ランクダウンして114位となりました。



4年間トップに君臨していた香港は1つ順位を下げ、ニューヨークに次いで世界で2番目に物価の高い場所になりました。



▼2023年、2022年のランキング(出所:ECAインターナショナル)



香港の商品やサービスのコストは数年来の高水準に達し、昨年世界中で見られたインフレの波が香港にも押し寄せたことを物語っています。しかし、クエイン氏は、日用品・サービスの価格上昇が、宿泊費の下落によって抑えられたためだと説明しています。



中国の各都市は、人民元安や他国と比べてインフレ率が低かった影響で、順位を下げました。上海と広州は、中国で最も物価の高い都市としての地位を維持しながらも、世界のトップ10から脱落し、現在はそれぞれ世界で13位と14位にランクされています。クエイン氏は、COVID-19関連の規制からの脱却が比較的遅かったことが、中国の経済に影響を与えたと述べています。



過去5年間、世界的に常にトップ5入りしていた東京は、5つ順位を下げて10位となりました。




(出所:New Straits TimesECA International

(画像:UnsplashのLuiz Centが撮影した写真)