[ベトナム] 世界銀行、ベトナムのGDP成長率予測を下方修正

2021/10/21



世界銀行は、2021年10月「ベトナム・マクロ・モニタリング」で、ベトナムの今年のGDP成長率予測を2~2.5%に引き下げました。



ベトナムの2021年第3四半期のGDPは、2020年の同時期と比較して6.17%減少しました。ベトナム統計総局によると、ベトナムがGDPを四半期ごとに発表するようになって以来、最も急激な下落となったということです。



▼ベトナムのGDP成長率推移(出所:ベトナム統計総局、PropertyAccess作成)




世界銀行は、第3四半期の急激なGDPの縮小を受けて、第4四半期の景気回復の力強さによっては、2021年通年のGDP成長率は、2~2.5%になると予想しており、8月に予測した4.8%を大幅に下回る予想です。



労働市場の状況も悪化しました。ハノイ、ホーチミンシティといった経済の中心地での長引くロックダウンによる経済への悪影響を反映しました。



国内の新規Covid-19陽性者数が減ってくるにつれて、ハノイ他複数の省では、厳しい制限措置を緩和し、昨年よりは低いものの、人々の活動、工業生産インデックス、リテール販売が回復し始めています。



貿易収支も改善しました。輸入の伸びが減速する一方で、外国直接投資(FDI)が9月に延び、外国投資家のベトナム経済の長期的な可能性への自信を伺わせました。



インフレーションは、弱い内需により控え目となり、ベトナムドンは国内市場でさらに名目上の値上がりが進みました。経済活動が鈍化したことで貸付需要が弱まり、貸付残高は減速しました。しかし、銀行が優遇ローンや条件緩和などを通じてパンデミックに影響を受けた事業への支援を継続したことで、パンデミック前のレベルに匹敵しました。



単月では歳入の急激な減少が主な原因で、9月に赤字を出したものの、1月~9月累計での前年同期比の予算残高は黒字でした。多国でも見られたように、長期にわたる社会隔離ののちの経済活動の再開には困難が伴いそうです。製造工場やサービスセクターは、再稼働するにあたって、商品・労働力の不足に直面する可能性があります。


物流上の無理を緩和するために、世界銀行はベトナム政府に対して大規模な検査・ワクチン接種を継続し、労働力の移動ができるようにすることを最優先に行うべきだと提言しています。



世界銀行はまた、ベトナム当局が拡大的な財政政策を採って、経済の立ち直りを支援するために、使える財政ツールは使っていくことも提案しています。これには、現在の予算計画を支出するにあたって手続きの簡略化をする、計画されている公共投資の実施を加速する、過程および公式・非公式労働者への社会保障を拡大するといったことも含まれています。



(出所:Vietnam Plus
(画像:Photo by Caitlin Barnes on Unsplash  )