[ベトナム] 2022年前半期不動産市場ではM&A活発

2022/08/10


アメリカに拠点を置く総合不動産サービス会社クッシュマン&ウェイクフィールドの調査によると、ハノイ中心部のグレードAオフィス、キャピタルプレイス(Capital Place)をビバランド(Viva Land)キャピタランド・デベロップメント(CapitaLand Development)から5億5,000万ドルで購入したのをきっかけにオフィスM&Aが加熱しました。


このキャピタルプレイスは、37階建ての高級オフィスプロジェクトで、ハノイに拠点を構えようとする多国籍企業のメインオフィスとして選ばれています。


以前、ビバランドは、ホーチミンシティにあるサイゴン・ワン・タワー(Saigon One Tower)も取得し、IFCワン(IFC One)と名称変更しています。


このIFCワンは、ホーチミンシティ1区の中心部にあり、オフィス、アパートメント、総床面積124,100平米の商業センターとして設計されています。




住宅分野でも、いくつか目立った取引がありました。例えば、ノバランド(Novaland)が、タイ・グエン・コンストラクション・プロダクション・トレーディング(Tai Nguyen Construction Production Trading Co.)からケントン・ノード(Kenton Node)プロジェクトを取得し、グランド・セントーサ(Grand Sentosa)と名称変更した取引があります。これは、ホーチミンシティのニャーベー区フッキエンコミューンにある1,640戸のラグジュアリーアパートメントプロジェクトです。


さらに、マスタライズ・ホームズ(Masterise Homes)がサイゴン・ビン・アン(Saigon Binh An)プロジェクトを購入した取引もあります。このプロジェクトは、現在は、ザ・グローバル・シティ(The Global City)という名称で知られています。117ヘクタールに及ぶプロジェクトで、タウンシッププロジェクト「サイゴン・スポーツシティ(Saigon Sports City)」とロンタイン-ドーザイ高速道路の脇にあります。


最近では、アメリカの投資ファンド、ウォーバーグ・ピンカス(Warburg Pincus)が、ノバランドに2億5,000万ドル投資し、ランドバンクを増やし、ノバランドの既存の戦略的なロケーションにプロジェクト開発を行うことを発表しました。南部で徐々に向上するインフラを活用したい狙いです。


別の投資ファンド、ヴィナ・キャピタル(VinaCapital)ドラゴン・キャピタル(Dragon Capital)もまた、フンティン・ランド(Hung Thinh Land JSC)に1億300万ドルを投資しています。




一方で、工業不動産は、M&A市場で最も熱いセグメントとなりました。不動産関連のM&A取引価格の35%を占めています。


今年初め、物流施設大手GLPは、総投資額11億ドルでGLPベトナム・デベロップメント・パートナーズIを設立し、物流センター6拠点のプロジェクトに着手します。


GLPは、トップ投資マネジャーおよび施設、デジタルインフラ、再生可能エネルギー、物流のビジネスデベロッパーです。


2月には、ウォーバーグ・ピンカスとベカメックスIDC(Becamex IDC)が共同設立した工業不動産デベロッパー、BWインダストリアル・デベロップメント(BW Industrial Development JSC)が、DEEP C.が開発したクアンニン省のバク・ティエン・フォン工業団地の74,000平米の土地を取得しました。


さらに、バクニン省のイェン・フォン工業団地のKTG&ブーステッド・ロジスティクス・インダストリアル社(KTG & Boustead Logistics Industrial JSC)の持ち分49%を、ブーステッド・プロジェクツ(Boustead Projects Co., Ltd.)が690万ドルで取得した取引もあります。


クッシュマン&ウェイクフィールドのチャン・ブイ氏は、レジデンシャルおよび工業不動産が、ホーチミン、ハノイ、近隣省の投資家やデベロッパーにとって最も魅力的な分野となるだろうと述べています。


従来の不動産タイプに加えて、過去2四半期では、データセンターへの投資もありました。香港を拠点とする民間投資会社ゴー・キャピタル・パートナーズ(Gaw Capital Partners)が、ホーチミンシティのサイゴン・ハイテクパーク(Saigon Hi-Tech Park)の6,056平米の土地に建設されたティア*3のデータセンタープロジェクトへ投資した案件です。

*データセンターの品質を設備の冗長性や稼動信頼性等を基に決められる品質基準で低い準に1~4となっている。


専門家は、域内の国々の成長率が鈍化する中、ベトナム経済は2022年第2四半期に7.72%の成長率を記録、過去11年間で最高レベルとなったことを指摘しています。


2022年前半期のベトナムへの外国投資も100.6億ドルという新たな記録を樹立しました。



投資元は、シンガポール、日本、デンマーク、中国、韓国などです。



一方で、クッシュマン&ウェイクフィールドは、法的な手続きなど、市場にまつわる既存の問題点についても指摘しています。しかし、投資関連の法的枠組みの中で、矛盾する規制がないように法システムを徐々に改善していることもあって、今年の不動産市場のM&A活動を阻む既存の障害を部分的に取り除くことになりそうだと述べています。




(出所:Vietnam Investment Review

(画像:Image by Peggy from Pixabay)