[フィリピン] コロナ前の成長率2022年第1四半期にも達成

2021/12/02


ドゥテルテ政権の経済チームは、国内全体で行う行動制限から、局地的なロックダウンに変更して安全に経済を再開させたことで、フィリピン経済は2021年の目標に到達するだけでなく、早ければ2022年第1四半期にはパンデミックの損失を回復できるだろうと述べています。



多くの民間のエコノミストは、国内総生産(GDP)がパンデミック前のレベルに回復してくるのは来年末にかけてだとの見方を示しているのに対して、社会経済企画庁のカール・ケンドリック・チュア長官は、楽観的な見方を示しました。



国家経済開発庁(NEDA)を統括するチュア氏は、「2021年の見通しは明るく、2022年の初め頃には、パンデミック前のレベルまで回復することができるでしょう。これで、長期的な傷跡や生産性の損失を防ぐことができます。」と述べています。



チュア氏は、政府が過去数か月間、感染の封じ込めのためにアラートレベル方式と局地的なロックダウンを採用し、人と物の動きが急激に活発になったことで、来年に向けた経済成長にとって良い兆候となったともコメントしています。



「主要セクターは、パンデミック前のレベルに戻りつつあります。」



例えば、航空機の収容定員は、今年9月の16%、昨年9月ではたった5%だったところから、11月はパンデミック前の40%程度まで上昇したということです。



ショッピングモールの客足も、国内のほとんどの地域が、行動制限の緩いアラートレベル2に移行したことで、11月にはパンデミック前の63%まで急増しました。チュア氏によると、2021年10月は35%、2020年9月は24%だったということです。



「子どもの外出も認められるようになったことで、大型モールからは客足の増加が報告されており、平日は、パンデミック前のレベルの50%、週末は81%まで増加しました。すでに外出を始めている家族連れが大きく寄与しました。」



「大型ファストフードチェーンの消費も同様に、今月はパンデミック前の売上の78%まで回復しました。10月には69%、昨年の9月は35%でした。」



「これらのことから、さらに行動制限が緩和され、経済が再開されることで、2022年初旬にはパンデミック前のGDPレベルにまで回復できるでしょう。」



昨年、フィリピン経済は戦後最悪の不況となり、経済成長率は-9.6%でした。名目GDPは2019年の19.5兆ペソ(約43.7兆円)から17.9兆ペソ(約40.1兆円)にまで落ち込みました。



チュア氏と、カルロス・ドミンゲス財務大臣は、集団ワクチン接種が進み、個人消費を押し上げたことで自信感を見せています。「通年のGDP成長率は、今年のGDP目標である4~5%の上限あたりに届く可能性が大いに出てきています。」とドミンゲス財務大臣は述べています。



2021年1月~9月の平均GDP成長率は4.9%でした。前年の不況の影響が2021年第1四半期にまでスピルオーバー効果をもたらしましたが、予想よりも良かった第3四半期の7.1%に釣り上げられる形となりました。



ドミンゲス財務大臣は、「経済の見通しが明るくなり、行動制限を緩和するにつれ、第4四半期はさらに良くなると見ています。現在のトレンドで行けば、来年初には経済の完全再開ができそうです。力強い回復を遂げる準備ができています。」と話しています。



チュア氏は、来年1月には最も緩和されたアラートレベル1に移行できるだろうとするものの、「特にホリデーシーズンに入るので、国民一人一人が衛生基準の遵守に協力してくれることが不可欠」なのに加えて、「適切な時期に」集団ワクチン接種の範囲を5歳以上の子どもにまで拡大することが必要だと述べています。



さらに行動制限が緩和されることで、2022年の挑戦的なGDP成長率目標7~9%も達成できるだろうとチュア氏はコメントしています。



(出所:Business Inquirer

(画像:Photo by REY MELVIN CARAAN on Unsplash )