[フィリピン] 2023年第1四半期の成長率は冷え込むが、2023年の目標達成に向け順調

2023/05/16


フィリピンの経済成長は、加熱したインフレと高金利が消費を減退させたため、第1四半期の経済成長率は、過去2年間で最も遅いペースとなりました。しかし、失業率の低下などポジティブなデータが揃っていることから、2023年の見通しはバラ色のようです。



フィリピン統計局が発表した2023年第1四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比で6.4%拡大し、GDPが3.8%縮小した2021年第1四半期以来、最も遅いペースでの成長となりました。



▼四半期ごとの成長率推移(出所:Philippines Statisitics Agency)



一方で、前四半期比ベースでは、成長率は、2022年10-12月期の2.4%から1.1%に減速しました。



1-3月期、成長率の勢いは減速したとはいえ、今年の成長率目標6.0-7.0%を達成する見込みであると、経済計画長官のアルセニオ・バリサカン氏はメディア向けのブリーフィングで語っています。



バリサカン氏は、リスクや課題はあるものの、フィリピンの金・中期的な経済見通しは引き続き堅調だと述べました。



政府のデータによると、1-3月期の家計消費の伸びは6.3%と4四半期連続で鈍化し、第1四半期に14年ぶりの高水準で推移したインフレの影響を反映しています。



しかし、インフレ率はピークに達したようで、中央銀行が金利を上げ続けなければならないという圧力は緩和されるだろうと、バリサカンは述べています。



「この下落傾向は続き、2023年の第4四半期にはインフレ率は最終的に政府の目標範囲まで緩和されると予想しています。」



中央銀行は、4月のインフレ率が6.6%と3ヶ月連続で緩和され、政府の年間目標である2%から4%の範囲内に収まる見込みであることから、今月の会合で積極的な金融の引き締めサイクルを一時停止する可能性を示唆しています。



フィリピンの3月の失業率が前月の4.8%から4.7%、昨年3月の5.8%から低下したことも、パンデミックから徐々に回復している経済にとって良い兆候であるとバリサカンは述べています。



バリサカン氏は、フィリピンは高成長の軌道に戻りつつあり、政府は、予想されるエルニーニョは確実に管理しなければならないリスクだとして、エルニーニョ現象による乾期を含むショックやリスクから経済を守るために対応する準備が整っていると述べました。




(出所:Philippines Statisitics Agency、Reuters)

(画像:UnsplashのLouie Martinezが撮影した写真)