【東南アジア・日本】海外不動産投資 場所・物件選びと購入方法

2020/11/14

海外不動産投資 場所・物件選びと購入方法


海外不動産投資を始めるにあたり、日本との比較をしながら場所・物件選びと購入方法を紹介します。また、知っておきたい不動産用語についても説明します。


不動産制度・税制比較(先進国)


日本の不動産の契約書は日本語です。保有制限がなく誰でも購入することができます。オーストラリア、シンガポールは頻繁に法律が変わり外国人が購入する際、税金面の規制などが変わることがあります。例えば、外国人の買い過ぎでバブルが始まると規制が行われます。


【投資家の早水和徳氏より一言】
アメリカの不動産の売買は、基本的には日本と変わりません。日本と唯一違うのは「エスクロー制度」が機能していることです。そのため、お金を払ったけど引き渡しがないなどのリスクがありません。第三者が間に入るのでリスクがないため、取引の安全性が高いです。毎年JLL(ジョーンズ ラング ラサール株式会社)が出している透明度ランキングでもアメリカは最も高いです。

エスクロー(escrow)とは、商取引の際に信頼の置ける第三者を仲介させて取引の安全を担保する第三者預託である。(ウィキペディア)


不動産制度・税制比較(東南アジア)

マレーシア、ベトナム、タイ、フィリピン全ての国において、外国人が不動産を所有することができますが、保有制限があります。

マレーシアは最低購入金額が州政府ごとに定められています。首都のクアラルンプールだと最低金額が2,600万円以上の物件しか購入ができません。

ベトナムでは2015年から外国人が不動産を購入できるようになりました。全マンション面積の30%までと制限があり、ほぼリース権(50年)です。そのため、完全な所有権を持っているという感覚にはなりません。

タイとフィリピンは似ています。コンドミニアムの所有のみで保有制限が設けられています。これは、外国人が法人を現地で作った時、所有できる株式が50%以上は取れないという考えに似ています。ユニット単位では100%所有できます。


東南アジアの国の選び方


現在の旬(2020年9月時点)という観点からお伝えします。

シンガポール:日本よりも価格が高く、利回りも低いです。あえてシンガポールを選ばなくてもいいでしょう。

タイ:東南アジアの中で人口減少が始まっている国、平均年齢が40歳を超えています。都市化が進み、バブルが崩壊している状態です。


マレーシア:物件の供給が過剰になってきていますが、日本人の移住ランキングは1位を維持しています。長期的にみると所有は○と言えるでしょう。


フィリピン:人口増・都市化が進んでいます。言語も英語というようにポジティブな要素が多いです。

インドネシア:外国人の登記できません。

ベトナム:同じ物件でも外国人は賃借権、ベトナム人は所有権と違いがあるものの、外国人が購入できるメリットはあります。

カンボジア:需要と共有のバランス崩れています。価格は安いですが、伸びる要素が少ないです。

日本では2021年分から海外住宅投資の節税が認められなくなりました。


外国通貨としての安定性のある国(10年の為替変動 対JPY ボラティリティ測定)


海外不動産を持つことは、その国の通貨を信じられるかということに繋がります。グラフは、対日本円から見た10年間の上下振れ幅です。不動産を購入する際に、購入してから3日後などに売却することはほとんどありません。ある程度の期間持ち続けるのが基本的な不動産投資のセオリーです。

フィリピン・ペソ 東南アジア通貨は切り下がっている状態ではありません。米ドル連動しています。フィリピンの不動産を購入するとフィリピンの銀行口座を作ることができます。



外国通貨としてダメな国


このように切り下がっている通貨の国の不動産は避けた方がいいでしょう。真ん中下の図は10年間で5分の1になっています。このような国の不動産を購入する場合、どのくらい不動産のキャピタルアプリシエーション(価格上昇)が期待できなければいけないか?利回りをどれくらい期待できないといけないか?などを考慮しなければいけません。


投資家の視点:コロナにおける低金利政策

コロナ後、金利が下がってきています。金利は不動産価格に影響を及ぼします。金利が下がると不動産価格は上がりやすいです。

フィリピンの金利は現在2.25%(2020年9月時点)、不動産は利回りとのイールドギャップ(投資利回りと長期金利との差)を見ていくと不動産価格が上がっていくことも考えられます。


【アメリカ不動産投資について・早水氏より一言】
個人投資家として検討するならば、コンドミニアム、戸建てが中心になります。コンドミニアムはRC(鉄筋コンクリート構造)の建物で、日本のマンションと同じように取引されています。節税というよりも、自己所有や利回り、キャピタルゲインを目的としていることが多いです。

戸建ての場合、これまでは個人でも所得税の節税目的で購入されることも多くありました。日本の税法では、木造の築22年以上の物件の場合、4年で建物部分が償却できました。1億円くらいの物件であれば、約80%が建物比率であり、4年で8,000万円、1年で2,000万円が償却できたのです。節税目的で購入する人が増えたため、個人所有の場合には2021年から海外不動産を購入しても所得税の節税ができなくなりました。法人の場合は引き続き節税を行うことができます。

コロナ禍における金利と資産バブルの可能性

日本:コロナ禍において、日本の機関投資家や個人の投資家の取引が激減しているわけではありません。ただ、コロナ禍で銀行の融資の貸し出し先が、サラリーマンから別(コロナ支援先)に向いています。逆にコロナ禍において融資を受けられた層が資産投資を行っている動きができています。

アメリカ:ロックダウンしている州は取引が止まっていますが、すでにニューヨークでは取引が進んでいます。ハワイでは実住の戸建てやコンドミニアムが、バーチャルの案内で取引されています。金利が下がっているので実住の物件には動きがあります。一方、ホテルなどは止まっています。


【海外不動産で知っておきたい言葉と意味】

リースホールド:賃借権の購入のことです。日本の「定期借地権」に似ています。

フリップ:竣工前に転売するなど、早めに転売することです。

サブリースの購入:リースホールドを持っている会社からリース権を購入することです。(不動産ではありません)

ホテルコンド(コンドテル):リゾート地で経営されている分譲ホテルのことです。ホテルとして運営してもらい、配当を受け取ることができます。期間限定で一部を自分で使うこともできます。日本では沖縄くらいであまり見かけないスタイルです。

インハウスファイナンス:銀行のファイナンスではなくディベロッパーが融資をしてくれることです。

キャピタルアプリシエーション:不動産の価格の含み益上昇のことです。

ストラタオフィス:区分のオフィスのことです。


【海外不動産投資における日本との違い】

予約金(申込金):国によって金額が異なります。マレーシアは高く、フィリピンは物件によって異なります。

口座開設・送金:口座が開設できない国があります。

瑕疵担保:日本の場合10年間ですが、基本的に海外は日本より短いです。

特殊費用:公証役場で認証などプラスでかかる費用があります。

税金:現地居住者は日本居住者かで譲渡税・所得税など税率が異なります。

賃貸管理:日本と異なります。

このように、海外不動産を購入する場合、日本と異なることが多いため購入前にしっかりと確認が必要です。



税金の比較(マレーシア・日本
日本は全世界所得課税の国です。日本に住んでいる人は日本で稼得した所得のみでなく、他国で稼得した所得も含めて課税を行います。日本に住んでいて海外で所得している不動産から得た収益に対して、他国より日本の税率が高い時には差分を払わないといけません。日本は所得税が非常に高いため、特に高額所得者は海外不動産で節税しようという流れになっていましたが、2021年から節税ができなくなりました。


プレビルド(新築)不動産購入時 支払方法・注意点

海外のプレビルドは、日本の新築物件のように、デベロッパーが建てて登記通りに必ずしも建つわけではありません。途中でデベロッパーがプロジェクトを中止することもあります。海外のプレビルドを購入する際には、敢行してくれるデベロッパーか見極めが重要です。
また、日本の支払い方法は、主に手付金と残金ですが、海外ではその他に中間金・分割金も発生します。


竣工前の売却(地位譲渡)

フリップとは・・竣工前の売却のこと・建物ができる前に支払っている金額とその残高がありますが、途中、残額を払っていない状態で売ることです。フリップは必ずできるとは限らないので最後まで支払う心積りで購入することがおすすめです。

図のように、不動産の価格上昇率が高い国だと粗利、キャピタルアプリシエーションが積み上がっていて、支払いの金額が全額ではない状態になります。通常ならローンを使用するのは竣工の時の残債を払う時ですが、途中で転売を認められている国では、地位譲渡ができます。これは、ROI(投資回収率)が非常に良い状態です。


利回り及び不動産価格上昇について(日本比較)

日本の住宅だと購入した時にすでにキャピタルアプリシエーション(含み益)の勝負は決まっていることが多いです。日本の住宅は含み益あまりなく、賃料が上がらないため利回りも上がりません。

一方、成長国は、賃料が上がるため利回りが高くなっていきます。含み益と利回りを予測しながら持つと良いでしょう。含み益は売却した際に得られる利益、キャッシュフローを回していくときは利回りを見ることがポイントです。


【海外の不動産、日本不動産投資との違いについて早水氏より一言】

海外不動産の契約書は日本の契約書より分厚いです。海外不動産は契約書を読み込まないと痛い目にあうことがあります。専門家の手を借りることがおすすめです。

運用の違い・・収益物件では賃借権のあり方が全く違います。例えば、日本では借家法でテナントが守られますが、アメリカだと借家法がないためテナントを追い出すことが簡単です。


フィリピンの情報

毎年約160万人ずつ増え(福岡市の人口くらい)2100年には1億7,000〜8,000人くらいに増えると予想されています。


ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は国民からの支持率が82%と高く、経済を支えています。長女のサラ・ドゥテルテ(現ダバオ市長)が後継者と言われています。


マニラの主要エリア


商業地(CBD)の土地価格推移2019年度における世界で一番不動産価格が上がったのはマニラです。オルティガスはマカティやBGCと比べると価格が伸びきっていない、追いついていない状態です。



マニラには交通網として電車が走っているものの、商業圏には走っていないためあまり電車は使われておりません。2022年から商業圏を走る地下鉄(メガ・マニラ・サブウェイ着工)の開業が計画されています。CBDの「オルティガス」に2駅できる予定です。

また2021年にはBGCに三越が開業予定で、三越の上に4棟の高級コンドミニアム「The Seasons」が建設中です。


【東南アジア不動産としてのフィリピン・早水氏より一言】
フィリピンは20年数年前と比べて街がきれいに安全になっています。コミュニケーションは英語で行われます。平均年齢が若いため、キャピタルゲインを得られるチャンスはあると思います。