海外不動産投資の税金まとめ。かかる税金一覧、節税方法、確定申告についてまとめました。

2020/11/24


海外不動産投資の税金まとめ。
かかる税金一覧、節税方法、確定申告についてまとめました。


海外不動産投資にかかる税金一覧(まとめ)

海外不動産投資にかかる税金について、物件購入・運用中・売却時の3つに分けて解説します。


海外不動産取得時

海外不動産を購入するときには、例えばローンを利用すると印紙税がかかります。また、中古不動産を購入する場合には、エリアと購入時期によって、売主との間で固定資産税の清算が必要です。

そのほか、国や地域によって異なる税金が課税されることもあります。支払った税金は後で経費として計上できるので、費目と金額を確認しておくことが重要です。


海外不動産保有時

海外不動産投資をする場合にも、日本国内での不動産投資と同じく所得税と住民税がかかります。例えばサラリーマンであれば、海外不動産投資による収支は本業での収支と合算が可能です。

本業の収支と不動産投資による収支とを合算することを「損益通算」と言います。海外不動産投資で赤字が発生した場合は、本業の収入と損益通算することによって、節税が可能です。

なお、損益通算するためには、毎年確定申告が必要になります。結果的に節税になった場合は、後日還付金を受け取り可能です。海外不動産投資でも、日本国内での不動産投資と同様に以下の費用などを経費計上できます。


・賃貸管理費

・支払金利(ローンを利用している場合)

・火災保険などの保険料

・減価償却費


確定申告の準備として、それぞれの金額と発生タイミングを把握しておくことが必要です。賃貸管理会社から管理レポートを取り寄せれば確認できます。


海外不動産売却時

海外不動産売却時には、譲渡所得税の支払いが必要です。譲渡所得税は不動産の売却益に対して課税される税金ですが、売却益の計算方法については注意を要します。例えば日本では、不動産の売却額から不動産の簿価を差し引いた金額が売却益とされます。売却額から差し引きするのは、不動産の購入額ではありません。

不動産の簿価は、不動産の購入額から減価償却額を差し引いた金額です。不動産の保有期間が長ければ長いほど、減価償却額は大きくなります。例えば不動産購入時と同額で売却できた場合を想定すると、長期間保有後に不動産を売却した場合は、売却益が大きくなるので要注意です。

不動産を購入した翌年の1月1日以降5年経過後に売却すると、売却益に対して20%の不動産譲渡税が課税されます。経過期間が5年未満の場合は、不動産譲渡税率は39%です。

※参照:国税庁


海外不動産を所有した時に知っておくべきポイント



海外不動産投資を始めたときに把握しておくべき、税金関係のポイントについて解説します。


税務署に報告すべきか

利益が上がっているといないとに関わらず、海外不動産投資を開始したのであれば、翌年に確定申告が必要です。利益が上がっていたのであれば、確定申告しないと後で追徴課税される恐れがあります。

また、投資の収益が赤字になった場合は、損益通算によって所得税の還付が期待できます。利益の有無にかかわらず、確定申告することが重要です。


二重課税を回避する外国税額控除制度

海外不動産投資をすると、日本だけではなく投資先の国でも所得税など税金が発生することがあります。日本での納税と二重支払になるのではと不安に思う人もいるかもしれません。

しかし、海外で支払った税金は日本国内で控除できる外国税額控除制度という制度があります。日本は多くの外国と租税条約という税金の取り決めを結んでおり、租税条約を締結している国では、外国税額控除制度を適用可能です。


それ以外のそれぞれの時期において気を付けるべきポイントや知っておくべきポイント

外国税額控除制度の存在は投資家にとって安心材料ですが、制度が適用されるタイミングはケースバイケースなので、注意を要します。例えば、海外不動産を売却した場合には、日本と海外との両方で不動産譲渡税が課税されることもあります。

最初に両方の国で満額の税金を納税してから、後で還付金を受取るという手順になることもあるので要注意です。

ローンを使って海外不動産投資をしていた場合は、不動産売却直後は税金の二重払い状態になっているため、売却額だけでローンを完済できないことも起こり得ます。海外不動産を売却する場合には、還付のタイミングなどについて事前確認が重要です。


海外不動産投資の節税方法



海外不動産投資の節税と2019年末に発表された税制改正大綱について解説します。


税制改正について

2019年末に発表された税制改正大綱にて、2022年の確定申告からは、海外不動産の減価償却を利用した節税ができなくなりました。これは、主に築古木造のアメリカ不動産投資を利用した節税をターゲットとしています。

不動産投資による節税を狙うのであれば、築22年以上の木造住宅に投資するのが最も効率的です。日本では築古木造住宅は流動性が低い一方、アメリカでは文化の違いから古い木造住宅も数多く流通しています。

近年では、日米間の不動産マーケットに存在するギャップを利用して、多くの富裕層が節税目的でアメリカ不動産に投資していました。税制改正が発表された背景には、富裕層の節税策を封じ込める狙いがあります。

※参照:令和2年度税制改正の大綱

税制改正大綱の詳細についてはこちらの記事もご参照ください。
▶︎2020年(令和2年)度の税制改正大綱で、海外不動産投資の節税はどう変わるのか。


税制改正では何が変わった

すでに解説した通り、海外不動産投資では減価償却費を「帳簿上だけの支出」として経費計上可能です。海外不動産投資による節税は、減価償却費の計上が大きなカギを握っていました。

しかし、2022年の確定申告からは、海外不動産投資の収支では減価償却費を計上できません。その他の経費はこれまで通り計上できますが、海外不動産投資による節税は、今後大幅に縮小されることが見込まれます。

税制改正の海外不動産投資に対する影響については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶︎2020年(令和2年)度の税制改正大綱で、海外不動産投資の節税はどう変わるのか。


税制改正後に節税できる方法

税制改正後にも海外不動産投資で節税を狙うのであれば、海外不動産投資による収支で赤字の計上が必要です。例えば海外不動産投資で利用できるローンなどは、日本国内の物件に対する不動産投資ローンと比較して金利が高くなります。

このギャップを狙って赤字を作るなどの方法も考えられますが、これは実際の手出しを生む方法です。手出し以上に節税額が大きくなる方法は考えにくいと言えます。今後は、海外不動産投資でも、家賃による継続的な収入や将来的な売却益などを目的として投資するのが妥当です。


海外不動産投資の確定申告



海外不動産投資を始めた場合は、収支の多い少ないにかかわらず確定申告が必要です。海外不動産投資の確定申告について解説します。


そもそも確定申告とは

確定申告とは、所得税や住民税を決定するために必要な手続きです。毎年1月1日から12月31日までに発生した所得と支出を取りまとめ、税務署に報告書を提出することで行います。原則として、毎年1年分を翌年の2月15日〜3月15日までに申告することが必要です。申告漏れなどがあった場合はペナルティが課されます。

なお、2020年はコロナウイルスの感染拡大に伴って、申告期限が4月16日まで延長されました。2021年以降も、税務署のwebサイトなどで正確な期限を確認するのが安全です。


どういった場合に確定申告が必要なのか

例えばサラリーマンの場合であっても、海外不動産を購入した場合には確定申告が必要になります。海外不動産投資でも日本国内の不動産投資と同様に、物件の購入手数料などを経費計上できます。

物件によって異なるものの、物件購入した年の収支は赤字になることも多いものです。収支が赤字になれば、本業での収入と損益通算することで税金を減らせる可能性もあります。

新たに投資を始めると税金が増えるイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、税金を減らせる可能性もあることから、海外不動産を購入したなら確定申告するほうが賢い選択です。


海外不動産投資の確定申告で気を付けるべきポイント

海外不動産投資の収入は外貨で入ってきますが、日本での確定申告においては日本円に換算してから申告する必要があります。

外貨を日本円に換算する過程で為替が関係してきますが、為替には売値・買値・仲直という3種類の相場があるので要注意です。基本的には仲直で換算しますが、複数年にわたって物件運用していく場合は、売値もしくは買値での換算も認められています。どの為替で換算するのが最も有利になるのか、確認してから確定申告に臨むのがおすすめです。


まとめ

海外不動産投資には、物件購入・運用中・物件売却のそれぞれで税金が発生します。税金の滞納はペナルティにつながりかねないので、いつ何の税金が発生するのか、あらかじめ把握しておくことが重要です。

また、これまでは海外中古不動産の特性を利用した節税も行われてきました。しかし、税制改正で海外不動産投資による節税は封じ込められることとなりました。今後は運用益や売却益を狙っていくのが一般的になると予測されます。


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