[マレーシア] 2021年と比較して2022年前半期は発売物件減少

2022/09/27


持ち家キャンペーン(HOC)もなく、インフレの圧力が高まる中、ロシア・ウクライナ紛争の勃発で、2022年前半期のマレーシア不動産市場では発売物件が減少しました。



2022年前半期のプロジェクト発売数は14件と、2021年前半期の37件と比べて減少しました。2021年12月31日に持ち家キャンペーン(HOC)が終了したことが背景として考えられそうです。



ユニット数で見ると、2022年前半期に発売したユニット数は7,595戸で、2021年前半期の11,560戸の約66%でした。



スランゴール州では8プロジェクトが発売されたのに対して、クアラルンプールでは6プロジェクトでした。前年同期は、スランゴール州が27プロジェクト、クアラルンプールが10プロジェクトでした。


ユニット数では、スランゴール州が4,283戸と全体の56%を占め、クアラルンプールは3,312戸で全体の44%でした。前年同期は状況が逆で、クアラルンプールが全体の69%を占める7,937戸、スランゴールが全体の31%を占める3,623戸でした。


2022年前半期で最も活動が活発だったのは1月でした。前年1月と同数の4プロジェクトの立ち上げがありました。背景として、資産コンサルタントのHenry Butcherは、HOCのスピルオーバー効果か、何らかの理由で2021年に立ち上がらなかった、もしくは立ち上げられなかったプロジェクトではないかと考察しています。しかし、その勢いは時間の経過とともに衰え、4月の発売物件はゼロでした。



2022年前半期に多かったのは、テラスハウスとサービスレジデンス/サービスアパートの発売で、それぞれ6プロジェクトでした。バンガロー、セミデタッチトハウス、クラスターホームなどの大きめの物件の発売はありませんでした。差し迫った国内の景気状況が買い手の意欲を減退させたとみられています。2021年前半期、テラスハウスは17プロジェクトが発売されました。



2022年前半期に発売された高層物件は10プロジェクト、土地付きプロジェクトは6物件でした。前年同期、高層物件は13プロジェクトでしたが、土地付き物件は今年の3倍に相当する30プロジェクトが発売されていました。



全体に占める割合を見ていくと、両期間とも全体のユニット数の78%が高層物件、22%が土地付き物件でしたが、全体のユニット数は2021年前半期の11,560戸と比較すると2022年前半期は7,595戸と大幅に減りました。



物件サイズ別では、801~1,000平方フィート(74~93平米)の物件が2022年前半期は7プロジェクトでした。2021年前半期には、同様のサイズのユニットのプロジェクトは10件ありました。大きめの1,201~1,500平方フィート(112~139平米)のプロジェクトは6プロジェクト、次に多かったのは小さめの601~800平方フィート(56~74平米)でしたが、2021年前半期は1,201~1,500フィート(112~139平米)が8プロジェクトとさらに大きい1,501~1,800平方フィート(139~167平米)が8プロジェクトでした。



トレンドが小さめのユニットにシフトしているのは、不動産デベロッパーが、高い価格で需要の少ない物件を売るよりも、人々の予算に見合った物件を販売することに重きを置いたことによる、直接的な反応ではないかと見られています。




価格にも変化がありました。2022年前半期には、販売価格が40.1万リンギット~60.0万リンギットのユニットが10プロジェクトと最も多かったのに対して、前年同期は100万リンギット超が31プロジェクトとなっています。Henry Butcherは、コロナの影響が完全に消えたわけではないけれども、HOCのインセンティブがデベロッパー各社を大胆にさせたのではないかと分析しています。



2022年前半期は、平方フィートあたり500リンギット(平米あたり約5,240リンギット)を切る価格のプロジェクトも、他のより高額の価格帯のプロジェクトと比較して目立ちました。2021年前半期にも同価格帯の物件は人気でしたが、平方フィートあたり501~750リンギットと、平方フィートあたり751~1,000リンギットの価格帯のものはそこまで多くありませんでした。これも、2022年の市場環境の変化が要因だと言えそうです。





(出所:New Straits Times