ホーチミンシティの投資環境と新規プロジェクト2018年

2018/06/01

ホーチミンの投資環境と新規プロジェクト2018年


ホーチミンシティ

ホーチミン市(ホーチミンし、ベトナム語: Thành phố Hồ Chí Minh)は、ベトナム社会主義共和国最大の経済都市で、東南アジア有数の世界都市です。ベトナム国民の父として親しまれる人物である『ホー・チ・ミン』と音韻弁別するため、通常はホーチミン市またはホーチミン・シティ(英語: Ho Chi Minh City)と呼びます。旧名はサイゴン(ベトナム語: Sài Gòn)であり、現地では今なお「サイゴン」という表現が、様々な場面で使われており、都市名としては「ホーチミン市」よりも通じます。また、ベトナム人の間では「HCMC」「TP.HCM」と省略されることも多いです。

古くからベトナムの経済的中心地として栄え、「東洋のパリ」と呼ばれたフランス統治時代の影響が残る街並みと、経済成長で建てられた高層ビル郡と雑多なバイク渋滞・スラム街が同居し、アジアらしさを残す街並みです。登録人口ベースで800万人を抱えるホーチミン市は、ベトナム南部圏の中心として、同国GDPのおよそ半分を占め経済を牽引しています。

ホーチミン市では公共インフラの必要性が急激に増大しています。この必要性を満たすため、市当局と中央政府は新都心を開発する努力を始めています。最も目立った事業を2つ挙げるとすれば、2区の Thủ Thiêm 中心市街地と7区の Phú Mỹ Hưng 新都心(サイゴン南部計画の一部)であり、日本人学校、サイゴン南部国際校(アメリカ人学校)、オーストラリアの王立メルボルン技術研究所、台湾人学校及び韓国人学校といった様々な国際学校が立地しています。

ホーチミン市は熱帯気候で、平均湿度は75%です。1年は2つの季節に分かれています。雨期は毎年平均して約1800mmの降水量があり(雨天は1年に約100日)、通常では5月に始まり11月下旬に終わります。乾季は12月から4月まで続きます。平均気温は摂氏28度で、最高気温は4月下旬の正午に摂氏39度に達することもあり、最低気温は12月下旬の早朝に摂氏16度を下回ることがあります。
(出所:Wikipedia

ホーチミンシティの行政区画

ホーチミンシティには24の行政区画があり、うち19区が市外地域に、5区が郊外県として位置づけられています。市外地域の行政区画と各区の特徴を見ていきましょう。

(出所:i tour Vietnam


地下鉄建設計画

ベトナム最大の都市であるホーチミン市は、人口の急激な増加及び急激な経済発展に伴い、市民の足であったバイクや自動車による大気汚染と交通渋滞が社会問題化していましたが、鉄道を軸とした新たな交通手段の切り札として都市鉄道建設が登場しました。ベトナム国営ゼネコンと住友商事などの日本企業が共同事業体を組み発注したことで、現地の雇用創出も期待されています。

2016年1月現在、ベンタイン市場から スオイティエン駅までの1号線 (19.7 km)、ベンタイン市場からタンソンニャット国際空港経由、タムルオンの車両基地までの2号線 (11.3km) の2本の工事に着工しています。さらなる延伸が計画されており、最終的に6本176の駅ができる予定。終着駅は地方へ向かうバスターミナルと接続される予定。

2006年11月28日、アジア開発銀行は、日本国政府の拠出による日本特別基金から、ホーチミン市地下鉄建設事業に対し、170万米ドルの援助を行うと発表しました。

2014年11月、ホーチミン市人民委員会はグエン・タン・ズン首相に対し、同市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)の完工時期を2019年に、運行開始時期を2020年に延期する旨の報告書を提出しました。同案件は、2011年の時点で2017年に完工、2018年に運行開始とされていたもので、予定より更に2年先送りされることとなりました。

なお、同年7月にベンタイン駅の建設が着工しており、完成すれば、地下道を通って商業ビル「ザ・ワン」と接続する予定です。
(出所:Wikipedia

(出所:JETRO


2018年4月以降の不動産関連ニュース

4月以降のホーチミンシティ不動産関連ニュースをいくつかご紹介します。


■HCMC、サイゴン川沿いの港湾10つを撤去し高層ビルを建設

Dan Tri International News

運輸省によると、都市化促進のために、サイゴン川沿いの10つの港湾が撤去されるとのことです。バ・ソン出荷場、ニャ・ロンカン・ホイ港、タン・トゥアン2、ボン・セン野菜専用港、ビエン・ドン港、タン・トゥアン・ドン港、ベン・ゲー港、物流拠点JSCおよびELFサイゴンが対象となります。タン・トゥアン港は、ニャーベ区のヒェップ・フォックに移転され、トゥー・ティエム橋建設用地とされる。2020年までに、これらの港湾を通して輸送されている貨物は、2億3,800万トンに達するとみられます。この数値は、2025年で3億1,700万トン、2030年で3億5,800万トンにたっすると予想されています。


■長期遅延中のメトロシティ再開

Vietnam Investment Review

立ち退き、補償、発電設備の撤去は2018年5月で終了、建設用地はデベロッパーに引き渡しがされる予定です。このプロジェクトは、今年の第3四半期に開始される予定で、韓国のGS E&Cから1億8,900万USドルの投資を受け、HCMCのナーベの350ヘクタールの土地に建設されます。GS E&Cは、基礎のインフラシステムを完了して、小規模プロジェクトの開発のためにサブ投資家を募集する計画でした。GSメトロシティには、金融センター、ショッピングモール、ハイエンドオフィス、アパート区画が含まれます。このコンプレックスの重要な部分は、リニアアーバンエリア、センターペニンスラ、ゲートウェイシティ、パークシティです。建設は、今後10~15年で完了するとみられています。


■首相、HCMC地下鉄第5号線のためのコンサルティング部隊雇用案にゴーサイン

Saigon Giai Phong Online

新しいカン・ズオックバスステーションからサイゴン橋をつなぐ地下鉄第5号線は、全長26キロメートルです。第1段階では、タンビン区のバイヒエン交差点からサイゴン橋までの8.9キロメートルが建設予定です。第5号線の総投資額は15億6,200万ユーロ(約2,000億円)で、実施期間は2009年から2027年です。計画では、地下鉄第5号線は、バイヒエン交差点で第2号線と、フーニャン区のフーニャン交差点で第4号線と、タンビン区のタンソンニャット空港ターミナル、ビンタイン区のハン・サン駅で第3b号線と、ビンタイン区のサイゴン橋駅で第1号線と接続することになっています。2007年の当初の見積もりでは、プロジェクトの投資総額は17兆ベトナムドン(約7億4,900万USドル)でした。しかし、最近の日本のコンサルタント・ジョイントベンチャーが試算し、シンガポールの独立コンサルタントが検証したところによると、総コストは47兆ベトナムドン(約20億7,000万USドル)となっています。現時点で、プロジェクトの51%が完了、2020年までに完工予定です。


■マンダリンオリエンタル、ベトナム5つ星ホテルプロジェクトを明らかに

Vietnam Investment Review

マンダリンオリエンタルホテルグループは、ユニオンスクエア・サイゴンとの調印式にて、ベトナムにおける5つ星高級ホテルプロジェクトの開発を公式に発表しました。ユニオンスクエア・サイゴンは、その輝かしい「ゴールデン」ロケーション(四方それぞれの入り口がグエンフエ、ドンコイ、レタントン、レロイという「ゴールデン」通りに隣接している)から、「サイゴンの中心の誇れる宝石」として知られています。マンダリンオリエンタル・サイゴンホテルは、国内外の観光客はもちろん、地元の人々の関心を集めることでしょう。2019年オープン予定のマンダリンオリエンタル・サイゴンは、228室、レストラン6つ、バー、スパ、ジムおよび国際級の屋外プールを備えています。さらに、イベントや会議用の多目的スペースも、ホーチミンでの貴重な体験を約束できるでしょう。このハイクラスのプロジェクトは、高級リゾート・体験を求める人々にはピッタリの場所となることは間違いありません。


■モーヴェンピック、HCMCの川沿いにベトナムの旗艦ホテル(815室)を予定

TTG Asia

815室のモーヴェンピックホテルHCMCが、ラッチディア河岸に建設中の複合用途開発ケントンノードの目玉として2020年にオープン予定です。ホテルルーム288室と、サービスアパート527室のモーヴェンピックホテルHCMCは、レストラン、バー、屋外インフィニティプール、プライベートスパ、フィットネスセンター、ボールルームと会議室複数室を含む会議・宴会設備も備えています。周りの84,000㎡のケントンノード・コンプレックスには、ハイエンドのリテールモール、レストラン、映画館その他レジャー施設に加えて、オフィススペース、居住用ユニット、マリーナ、川沿いの遊歩道に公園があります。モーヴェンピックホテル建設への署名は、このスイスチェーンの2020年までにベトナムに3,000室以上を提供するといおう野心的な進出計画の「重要なパート」となります。現在、モーヴェンピックホテルはハノイのみですが、今後数年で、カムラン、フーコック、クイニョン、クアンビン、ダナン、ランコーを含む、国内の要所に新しいホテル・リゾートをオープンさせる予定です。


■ベトナム、不動産価格の低さで、香港、中国バイヤーの宝探しの場所となる

South China Morning Post

シンガポールやタイといった近隣国よりも不動産価格が低めの設定で、ベトナムは急速に香港と中国の投資を集め、人気の投資先となっています。中国本土、台湾、香港からのバイヤーが、昨年の外国人バイヤーによる取引のうち東南アジア諸国の25%を占め、2016年の21%から上昇しました。海外資産に限りのあるバイヤーでも、急速に成長する市場では物件を購入することができ、その投資を多様化できます。オーストラリアや米国でたとえ5百万元の家を買う資金がなかったとしても、ベトナムなら、海外に保有する資金で700,000元(108,781USドル)の家が購入可能です。ベトナムの不動産を買い求める中国人バイヤーは、2017年第1四半期と比べると300%増となりました。ベトナムは、タイやマレーシアの人気と比べるとまだまだですが、それでも需要は急速に伸びています。

(出所:CBRE Vietnam

※ホーチミンシティに関連する2018年4月以降、本記事執筆時点までのニュースを載せていますが、ホーチミンシティの不動産関連ニュースすべてをカバーするものではありませんのでご了承ください。