政治・経済からみた投資環境(インドネシア編)

2017/09/26

この記事のポイント

2014年よりジョコ・ウィドド大統領の下、インフラ整備、社会保障拡充など経済・社会政策を重視
GDP成長率は5%前後と高い成長を維持し、投資誘致に積極的
2.5億人強の人口を誇り、ASEAN諸国トップ

▶前回の記事:インドネシアの生活

前回はインドネシアの概要をご説明しました。今回は、特に政治と経済、および人口の観点から詳しくご紹介します。


政治

インドネシアでは、ジョコ・ウィドド大統領が2014年から大統領として政権運営を行っています。ジョコ大統領は、インフラ整備、社会保障拡充、格差是正等の経済・社会政策を重視。国民に分かりやすく方針を示し、目に見える成果を求めるスタイルを確立しました。ジョコ政権は安定した人気を保っており、特に政権が推進する貧困層向けの医療保障や教育・福祉政策に評価が高く、庶民が恩恵を実感できる経済発展やインフラ政策が2019年の再選に向けたカギとなりそうです。


経済

東南アジア最大の人口を抱えるインドネシアの経済成長は内需主導型。人口増加や賃金上昇などを追い風に個人消費は堅調に拡大しており、これがインドネシア経済の成長のエンジンとなっています。

前ユドヨノ政権時から経済は順調に成長しており、GDP成長率はおおむね5%前後と高い成長を維持しています。ジョコ大統領は投資誘致に積極的で、就任直後から投資環境の問題解決に取り組んでいます。特にインフラ整備やビジネス環境の改善などでは、徐々に成果が見え始めているようです。ジョコ大統領の取り組みの結果次第では、インドネシアのさらなる経済成長の加速を期待することができるでしょう。政治動向は引き続き注目です!

次に、インドネシアの経済を指標から見てみましょう。

【一人当たりGDPとGDP成長率の推移】
(出所:IMFより作成)

【GDP成長率推移の比較】
(出所:IMFより作成)

おおむね5%強の高い成長率を維持しているインドネシア。2017年以降のIMFによる予想値でも、2022年までGDPの年間成長率は5%強を継続。一人当たりGDPは、毎年右肩上がりで成長すると予想されています。

【失業率の推移比較(単位:%)】
(出所:IMFより作成)
2017年以降の数値はIMFによる予想値で、いずれの国も2017年予想値と大きくは変わらない前提となっています。近年のインドネシアの失業率は2%前後と、ASEAN諸国の平均と比べて低水準で推移。今後も同様の水準が継続すると予想されています。

人口

インドネシアの直近の人口は約2.5億人強。ASEAN諸国の中でもっとも人口が多く、世界では4番目に多い国です。平均年齢は30歳(日本は46歳)、14歳以下の比率は28%(日本は12%)、65歳以上の比率は5%(日本は27%)となっており、若い人口の多い国です。

【世界の人口 2016年(単位:百万人)】

China

1,383

India

1,309

United States

321

Indonesia

259

Brazil

206

Pakistan

194

Nigeria

184

Bangladesh

162

Russia

143

Japan

127

(出所:IMFより作成)


【インドネシアの年齢別人口推移(単位:百万人)】
(出所:United Nationsより作成)
インドネシアの人口は、2035年ごろに3億人を超えることが予想されています。15歳〜64歳の人口は2050年まで増加すると予想されており、インドネシアでは労働力の中核となる生産年齢人口のますますの拡大が見込まれています。

【インドネシアの年齢別人口比率推移】

(出所:United Nationsより作成)

2050年にかけて14歳以下の人口比率は緩やかに減少する一方で、65歳以上の人口比率は緩やかに増加することが予想されています。それでも、2035年に65歳以上の比率が2桁の10%になるペースなので、インドネシアでは当面の間は人口ボーナス期を享受すると見込まれています。

参考値として、日本の人口構成と推移を見てみましょう。

【日本の年齢別人口推移(単位:百万人)】

【日本の年齢別人口比率推移】

(出所:総務省統計局より作成)

日本の人口は、総数が減少していくとともに、65歳以上の人口比率の増加が予想されています。2015年時点で65歳以上の人口の比率は27%、30年後の2045年には+10%強の38%になると予想されています。3人に1人以上が65歳以上、ということです! 2035年に65歳以上の人口比率が2桁になるインドネシアと比べると、いかに日本の高齢化が進んでいるかが浮き彫りになります。


次回は

安定した支持を集めるジョコ政権の改革により、さらなる成長を目指すインドネシア。巨大で若い人口を武器に、経済成長は加速していくと予想されています。成長著しいインドネシアに、今後も注目です!次回は、「インドネシアの不動産を外国人が購入するには?」について見ていく予定です。次回もお付き合いください!

▶次回の記事:日本人がインドネシアで不動産購入する時の注意点