【東南アジア】海外不動産投資における投資戦略の策定方法と投資家マインドの醸成

2020/11/22

海外不動産投資における投資戦略の策定方法と投資家マインド


海外不動産投資においては投資戦略が重要です。入口は購入、出口は売却をさしています。

ここでは「選定」部分の投資戦略を考えていきます。




保有期間については、不動産はロングで持つと勝てますが、一定の資本投下のお金を回収したい場合は3年〜5年でみる場合もあります。

投下資本と期待リターン(Yield、Capital Gain)と売却想定先を考えてから購入します。次に誰が購入するのかはプロであれば最初から想定しています。このような戦略を一緒に考えてくれるには本物のエージェントアセットマネージャーです。

一般的に不動産投資の書籍などに書いてあることはテクニカルな話、戦術の部分です。

選定については以下を確認しましょう

・どんなエリアを購入するといいのか
・誰から購入したらいいのか
・金額はどのくらいなのか
・投資家のタイプによって購入する物件・国が変わる

さらに細かく見ていくと、不動産エージェントの選び方も重要なポイントです。


不動産エージェントの選び方

・優秀であるかどうか、クオリティ
・人・体制・会社の規模
・宅建の免許・ライセンスがあるかどうか
・管理をしてくれるのか、次にどんな人が購入するのか考えて実行してくれるのかどうか
・バックグラウンド
・特定の国について詳しいかどうか
・報酬について

ここからは不動産エージェントの選び方についてQ &A形式でお伝えします。


では海外不動産にプロはいるのでしょうか?
世界不動産取引の全てに詳しい人はいるのでしょうか?

不動産エージェントは、医者や弁護士の世界と同じだと考えてください。例えば、医者の場合は、内科・眼科・皮膚科というように専門分野が分かれています。弁護士の場合は、企業法務に強い人・民事に強い人というように得意分野があります。不動産も同じです。

不動産の場合、海外の不動産だけに精通している人はほぼいません。ただ、日本国内の不動産取引をしていない人が海外の不動産取引のアドバイスをしてもうまくいきません。少なくとも日本国内の取引においてプロであるべきことが条件だと思います。

海外の取引において宅建免許は必要なのでしょうか?

海外不動産取引においては、日本の宅建免許は必要ありません。ただ、中には情報商材を売る感覚で販売している業者もあるため、だれを選ぶのかはとても重要なことです。どんなバックグラウンドなのかヒヤリングを行いましょう。

ではどんな人が理想なのでしょうか?


I、T、Π(パイ)型人材について

I型人材・・医者のように特定分野に強いこと・特定分野の専門性が深いこと

T型人材・・幅広い知識を持ちつつ、一つの専門分野を極めている

Π型人材・・幅広い知識を持ちつつ、2つの専門分野を極めている

不動産は売買(購入・売却)、管理、賃貸というように分野が分かれています。投資もオフィスの投資、住宅などに分かれ、仲介業者もそれぞれ分野が分かれています。海外不動産に関しては日本の不動産のプロ、かつ海外不動産のプロ、このような人は珍しいですが、タイプでいうとΠ型のような方です。

日本国内不動産の幅広い領域の経験や知識があると、不動産の購入、賃貸、売却について、それはどういう人が購入するのか(日本人なのか・外国人なのか・機関投資家なのか)などと想像がつきます。

海外不動産においては経験と「人脈」が重要です。現地で情報を吸い上げて比較した中で「高値づかみされていないか」など知るには、現地のネットワークがしっかりあるかどうか、現地に信頼できる人がいるかどうかが重要です。

エージェントに支払うお金について

日本不動産の仲介手数料は3%+6万円が上限です。海外不動産取引においては、宅建業法が適用されません。(今後、日本国内の営業行為においては変わる可能性はあります。)現在は海外不動産取引においては宅建免許が必要ないため、仲介手数料の上限はありません。名目はコンサルティング報酬やアドバイザリー報酬、その他の名目の報酬としてエージェントにお金を支払います。上限がない仕組みが企業のM &Aと同じです。料金は、最低50万円から〜、料率は3〜5%(場合によっては∞%)が一般的です。そのため適性の価格であるかの判断には、エージェントが何をやってくれるのかの確認が必要です。


エージェントがやってくれること(取得)

どの物件を選ぶのかはエージェントに依存することになります。途中で売却できる国もあるのでその場合もエージェントが対応します。建物のチェックなど多岐に渡って行います。


エージェントのフィーをゼロにするには?


フィーをゼロにするのは、前のスライド(エージェントがやってくれること)をすべて自分でやればいいだけです。直接デベロッパーや売主さんとやり取りを行いますが、英語力だけだと失敗しやすいです。先ほど、医者や弁護士の例にもあった通り、海外不動産は複雑で難しいため専門知識が必要です。そのため、自分ですべてのやり取りを行う人はほぼいません。結局はフィーを払ってでもエージェントにお願いする流れになります。


物件を買い増す(買い足すこと)際、リセール(再販売)に出る物件や安い物件の情報は誰もが欲しいと思います。しかしながら、エージジェントはビジネスとしてやっているため、フィーを払わない人・フィーを値切る人には優先的に紹介しません。エージェントとの繋がり、有効な関係性を続けることは購入後も大切なことです。エージェントの選び方としては、購入したら終わりではなく、売却までの戦略を立ててくれること、現地のネットワークを持っていて何かトラブルが会った時にも対応してくれることなど含めての検討が必要です。

エージェントのフィーや手数料0でやりますという日本の不動産取引もありますが、それは取引したら関係性はそこで終わりだと思っておきましょう。

上記のスライドの右側にあるのはフィリピンの物件のユニットの図ですが、直接海外のデベロッパーと交渉した際に起こりうる事例を紹介します。

海外のデベロッパーのセールスは、すべての物件を売るために、売りにくい物件から売りたいと思っています。国ごとの情報の格差があるため、外国人として取引に行くと、どういう人が借りるのか?次はどういう人が購入するのか?など想像ができないことがあります。

実際、現地のセールスから「このユニットがいいですよ。なぜなら〜だから」という説明を受けますが、プロの視点から眺望・広さなどから判断し、考えると「このユニットを購入してしまったら、貸しづらい、売りにくい」と思うこともあります。中途半端な大きさのものや、向きの問題で眺望が悪いものなどを実際、現地のセールスは勧めてきます。

そのため、戦略の立案・遂行をして、どういうリターンを立てていくのか、売却しやすいのかについては、寄り添ってくれるエージェント・アセットマネージャーがいないと見極めができないため、購入した時につまずいてしまいます。

日本の不動産の場合はキャピタルゲインが望めないため、購入した際に勝負が決まっています。プロであれば一棟購入してリノベーションを行ない、賃料をあげるようなことも行いますが、素人は難しいので購入した時の価格で考えましょう。成長国の場合は、基本的に毎年キャピタルゲインはありますが、どういった物件が次に売りやすいのかを考えることが大切です。


エージェントの選び方において注意すること

代理送金:海外送金が面倒だから、手付金を含めてある程度の金額をエージェントに渡して、代理で送金してもらうことです。
→エージェントの会社が財閥系の大きな会社だと心配ありませんが、実際にエージェントに連絡がつかないとか、会社が倒産した、お金がデベロッパーに払われていなかったという事例もあるので注意が必要です。このようなことは、アメリカのようにエスクロー(商取引の際に信頼の置ける第三者を仲介させて取引の安全を担保する第三者預託のこと)がなく、お金が保全されていないため起こりうります。面倒ですが直接、デベロッパーに送金するようにしましょう。

日本語での契約書でのサイン

適法に購入できていなかった、権利がエージェント(会社)の名前になっていたという事例もあります。英語だとわからないので日本語での契約書でエージェントと契約しておきましょう。


国の選び方

※SG(シンガポール)、MY(マレーシア)、TH(タイ)、PH(フィリピン)、ID(インドネシア)、VT(ベトナム)、KH(カンボジア)のことです。


法制度:インドネシアでは外国人は不動産を持つことができません。タイは宅建業法がないためクオリティーコントロールが難しいです。また、ベトナムは法制度が脆弱です。

口座開設:タイは制度が厳しくなり口座開設ができなくなりました。現地の口座がないと毎回持っている口座に振り込んでもらったり、管理をしている会社に代理で受け取ってもらったりしなければいけません。ベトナムは持てる場合と持てない場合があります。

○が多いと比較的、いいという判断です。

公共投資:カンボジアは失敗していると思います。

ではどの都市を選びますか?

シンガポールは価格が高いので、住まない限り購入はありえないと思います。

クアラルンプール、ジョホール → マレーシア
マニラ、セブ → フィリピン
ホーチミンシティ → ベトナム
バンコク → タイ
プノンペン → カンボジア


まず都市圏の人口、GDP(一人あたり)を見ていきます。外国人が購入するのは高級物件が多いため、高級物件との格差を見るために高級物件の坪単価÷GDPを計算します。数字が高いほど、一人あたり、ローカルな人とのGDPに格差がついているということです。高いと外国人しか購入できないような状態になっています。

クアラルンプールとジョホールは1を切っているので安いですが、これは供給過多な状態だからです。以前、すごく流行ったため多くの人が購入しましたが、現在は売却することができない人がたくさんいます。購入する際に、今後人口がどれだけ増えるか、移民も含めてどれだけ人が住むかということをリサーチする必要があります。結果的にクアラルンプールとジョホールは人が増えなかった場所だったということが分かります。

人口の成長率を見ることも大事ですが、ローカルな人が増えているのか、外国人の移民が多いのか、外国人しか買えないエリアなのかも含めて坪単価の価格差、GDPの価格差をチェックしましょう。需給においては供給過多だと値引きが受けられます。値引き幅が大きいのは、クアラルンプール、バンコク、プノンペンの一部のエリアです。ただ、その価格が底なのかどうか、価格はいつくらいに戻るのか、価格が戻るためにどんな政府の対策がされているかどうか、外国人をどのように入れていくかどうか、調整をしているかどうかを見ていかないといけません。

プレビルド(新築)不動産購入における支払方法・注意点


工事が止まるケースもあるため、デベロッパーの規模の大きさ、見極めは重要です。


売主の選び方

賞をとったデベロッパーが安心という訳ではありません。いろんな賞があり、中にはお金で購入することができる賞もあります。


価格を決める

支払の方法は国ごと異なります。


①プログレッシブペイメント(マレーシア、ベトナム、カンボジア)
この時期にいくら払ってくださいというように、竣工までに多額の支払いの必要があります。ローンを組んで支払いを考えている人は、建物ができる前から金利を支払う必要があります。竣工前に全体の8割支払うこともあります。

②手付金・残金(タイ)
日本と同じような支払い方法が多いです。手付金3割、残金7割というような割合です。

③フレキシブルペイメントターム(フィリピン)
交渉し放題なので支払い方法を選ぶことができるため、竣工まで少額支払いをすることもできます。投資家としてヘルシーな支払い方法は②と③と言えるでしょう。

ローンの種類


日本の銀行2カ所と現地の銀行を使うパターンがあります。日本の銀行を使う場合、日本の不動産を担保に取られます。日本で不動産を持っていない方が、日本の銀行から融資を受けるには一部のアメリカ、タイの一部の不動産というように限られます。融資についてはお付き合いのある金融機関に確認してみるといいでしょう。

海外では当たり前のことですが、富裕層は証券担保、プライオリティーバンク・プライベートバンク(HSBC・スタンダードチャータード・シティなど)などがあります。一定のお金を預けていれば、お金や証券を担保にお金を借りることができるというものです。

例えば、SMBC信託銀行は5,000万円以上預けているとプレミアムステイタスになります。預金の8割まで融資を受けられ、金利だけの支払いになります。

竣工前の売却


基本的には現金もしくは資産がある前提で進めますが、竣工前の売却ができる国があります。マレーシアはできません。その他の国は基本的にはできますが、売主であるデベロッパーが許可しない時はできません。

支払いの方法は図の①、②、③となりますが、不動産の価格が上がっていく場合は粗利があって支払いをしている状態、残金を残している状態です。途中で売却するとキャピタルゲインが何%上がるかは不動産の全体の価格に対して上がっていきます。支払いは全額していない状態なので、残金が残っています。これは、ローンを組んでいる状態に似ています。残りの残金を払っていないので金利がかかっていない、支払いを留保している状態です。

では現在持っている現金に対して、どれくらい海外の不動産に入れたらいいのでしょうか?

予約金・手付金、分割金、最終金それぞれについて見ていきます。


予約金・手付金:最初に払うお金は預金の50%以内にしましょう
分割金:毎月の支払いは貯金範囲内、毎月、貯金ができない状態の方は海外不動産を買わない方がいいでしょう。金利が日本とは異なります。
最終金:ローンが組める方、ローンは換金資産の範囲内に抑えましょう。

個人の予算の決め方としては、無理して購入することは避けることがポイントです。