[フィリピン]中銀さらなる利上げ

2023/03/30


フィリピン中央銀行(BSP)は、インフレ対抗モードを継続し、ベンチマーク金利を25ベーシスポイント引き上げて6.25%としました。しかし、次回の政策会合の方向性は、今後数カ月の消費者物価の動向に大きく依存すると述べました。



ロイターが行った調査で24人のエコノミストのうち23人が予測していた今回の利上げで、中央銀行は5月から累計425ベーシスポイント引き上げたことになります。



フィリピン中央銀行のフェリーぺ・メダーリャ総裁は、メディア向けの会見で、「金融政策決定会合(Monetary Board)の決定は、新しく入手した情報と、過去の政策の効果見極めをもとにして行われました。インフレ見通しを落ち着けるためには、金融引き締めの継続が不可欠であると判断されました。」と述べています。



メダーリャ総裁は、フィリピンの銀行システムの強靭性を強調した上で、先進諸国の金融システムが受けている圧力からの「外からのスピルオーバー効果に対抗するためのバッファーを保つ」ために利上げは妥当だと判断されたと説明しています。



「BSPは、今後も国際銀行業界の動向を注視していく」とメダーリャ総裁は述べています。



2023年3月初め、アメリカの中規模銀行が相次いで2行経営破綻して以来、銀行セクターは混乱状態に陥り、167年の歴史を持つクレディスイスがライバルのUBSに買収されるに至りました。



中央銀行は、今年、来年のインフレ見通しを下方修正し、必要に応じて、消費者物価の上昇ペースを目標幅である2%~4%に収めるためのアクションを取る準備ができていることを強調しました。



2023年2月、インフレ率がやや落ち着いて8.6%となり、中央銀行は2023年のインフレ率を平均6.0%(前回予想6.1%)、2024年は2.9%(前回予想3.1%)と予想しています。



「これまでは、おおよそ上がるだろうという確信が持てていましたが、今は明らかにデータ次第です。」とメダーリャ総裁は述べています。



INGのエコノミスト、ニコラス・マパ氏は、30日の政策決定を受けて、中央銀行は、供給サイドのショックを起こさないように、5月で金融引き締めサイクルを一旦停止するのではないかと話しています。



フィリピン中央銀行の利上げの動きは、アメリカの連邦準備制度理事会の25ベーシスポイントの利上げと、銀行業界のストレスが貸し渋りを引き起こす可能性があるという警告に続いた形となりました。



連邦準備制度理事会の利上げの動きが、フィリピン中央銀行の政策決定に「関係することがある」とする一方で、メダーリャ総裁は、今後の動きは「インフレの状況評価による」と発言しています。




(出所:ロイター通信