[マレーシア] 中央銀行:オフィス・モールはEコマースやフレキシブルな働き方へのシフトで空き増加

2021/10/14


マレーシアのオフィスおよびショッピングモールのスペースに空きが増える可能性があります。一方で、そのような商業物件の賃料もまた下がるでしょう。これらもまた、Covid-19パンデミックの影響であるとマレーシア中央銀行は述べています。



この傾向は、消費者がオンラインで購買活動を行うなどの変化にもよるかもしれません。



2021年上半期の財務安定性レビューの中で、マレーシア中央銀行(BNM)は、ショッピングコンプレックスおよびオフィススペースの稼働率および賃料が下降傾向だと述べました



BNMは、2020年7月~9月期以降の継続的な下降傾向を強調し、「クランバレーのオフィスおよびリテールスペースの平均賃料は、2020年第3四半期から4四半期連続で下降しています。」と述べています。



不動産ソリューションプロバイダ、ジョーンズ・ラング・ウートン社のデータに言及し、BNMは、クランバレーのオフィススペースの空室率が2020年4月~6月期(26.4%)から2020年10月~12月期には27.5%へ、そして2021年4月~6月期には28.6%にまで上昇していることを示しました。





同様に、クランバレーのリテールスペースの空室率もまた、25.4%から26.3%、そして26.4%と、じわじわと上がってきていることが見て取れます。



不動産コンサルティング会社ナイトフランク・マレーシアとサヴィルズ・マレーシアのデータに基づき、BNMは同様に、クランバレーのプライムオフィススペースの平均賃料、プライムリテールスペースの平均賃料もマイナス傾向であることを示しました。




デベロッパーがプロジェクトのキャンセルや延期をしたことで、商業スペースの供給量が減っているものの、BNMは、需要低迷が長引くなか、商業開発物件がいくつか完成したこともあって、マレーシアの主要な州すべてで空室率が増加したと述べています。



家主は、新しいテナントを呼び込んだり、既存のテナントの引き留めたりするために、賃料無料期間を設けたり、賃料割引、短期レンタル支援パッケージなどを打ち出したりしているようです。



BNMは、「さまざまな賃料救済措置が取られているにもかかわらず、半数のモール事業者はテナントから賃料を改修するのが非常に困難だと報告しています。」とマレーシア・ショッピングモール協会(PPK Malaysia)が8月に行った調査に言及して述べています。



「これは、モールオーナー、特に比較的空室率の高い一等地でないロケーションのモールにとって、キャッシュフローに悪影響を与え続けることになります。」



BNMはさらに、「今後、フレキシブルな働き方や、消費者の支出パターンのEコマースへのシフトなど、パンデミックがもたらした構造的な変化の結果として、空率率はさらに上昇を続け、賃料にさらなる圧力がかかることになりそうです。」と加えています。



商業不動産の稼働率は、2020年Covid-19特別措置法による保護の期限が経過することで、さらに影響を受ける可能性もあります。この特別措置法では、賃料を支払わなかった商業不動産テナントの立ち退きを禁止していました。



銀行制度融資のたった3.1%ほどしか占めていないオフィスおよびリテール商業不動産への銀行の直接貸付リスクは限定的なことから、BNMは、稼働率の低下や賃料への圧力が、マレーシアの財務安定性へのリスクが大幅に増加することは予想されていないと説明しています。



しかし、BNMは、その結果起こりうる「経済へのより幅広いスピルオーバー効果が、銀行のリスクを高める可能性がありうる」と述べています。



2021年8月12日、PPKマレーシアは、リサーチ会社ストラトス・ピナクルSBと、全国94のショッピングモールについて共同で行った調査の結果を発表しています。そのうち、対象のショッピングモールのうち、クランバレーおよび郊外エリアに位置するのは63軒です。7月23日~7月30日に行われた調査の際、これらのモールのほとんどで営業が認められていた業種は「必要不可欠」だとみなされるもののみで、営業ができていたテナントは20%ほどでした。



調査の中で、ほとんどのモールで、テナント向けの賃料の割戻しを提供していることが明らかになり、そのようなモールの40%が30~50%の割戻しを提供していました。



調査では、さらに、パンデミックと新型コロナウイルス感染拡大を封じ込めるための行動制限の影響で、30%のショッピングモールは、テナントの70%以上から賃料を回収できておらず、ほぼ50%のモールでは、テナントが滞納している賃料が最大1年分にも上ることが分かりました。



また、32%のモールが3か月以上の十分なキャッシュフローがないと回答しており、その大半は10~20%の人員削減を実施する結果となり、ほぼ80%で減給の処置が取られています。



さらに、モールの60%で客足の減少が見られ、来店者がパンデミック前と比較して60%~90%減少したと回答しており、売上の減少にも同様の傾向が見られました。



今後の回復見通しについては、44%のモールが、行動制限が解除されても、消費者がステイホームを続ける可能性があるとして、事業の回復に最大1年かかるだろうと回答しています。



これを受けて、PPKマレーシアは8月、2018年の国のGDPの34.7%に貢献したリテール業界の重要性を強調し、経済の回復に貢献すべく、リテール業の再開・復活の必要性を訴えました。政府は、その後、国内でのワクチン接種率の上昇を受けて、行動制限を緩和し、多くのビジネスの営業再開を認めています。



▼マレーシア州ごとのワクチン接種率(出所:CovidNow

マレーシア全体:最低1回接種 75.4%、接種完了 66.6%


(出所:Malay Mail

(画像:Photo by Sadie Teper on Unsplash  )