[フィリピン] パンデミックにも関わらず、企業信頼感は上向き

2021/10/12


フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP))が行った企業信頼感調査(business confidence survey)で、国内の実業家は2021年第4四半期について楽観的な見方をしており、今後12か月間についてはさらにその傾向が強まることが分かりました。過去に行った調査で見られた悲観的な結果から改善しました。



BSPの直近の企業期待値調査(Business Expectation Survey)の結果によると、全体の信頼感指数が前期の31.4%からやや上がって31.9%となっており、フィリピンの実業家は、第4四半期について楽観的な見方を継続しているようです。



さらに重要なのは、今後12か月間で、企業信頼感はさらに楽観的になり、全体の信頼感指数が、全四半期の調査結果52.5%から56%にまで上がっていることです。



全体的に上向きな見方ですが、調査では、続くCovid-19パンデミックと、パンデミックがビジネスに与える長期的な影響、メトロマニラを中心に8月に再実施された強化されたコミュニティ隔離措置、売上・注文・利益の減少、政府の政策、特にCovid-19とデルタ株の感染拡大封じ込めのための取り組み、そして鉄鋼、ウッドライナー、接着剤などの原材料価格の高騰についても懸念も明らかになりました。



2021年第4四半期について、輸入業者および国内向け企業の見通しは楽観的だった一方で、輸出業者および輸出入両方を行う業者の見通しは、やや下がり気味でした。



今後1年間については、回答した企業について全般的に企業信頼感に改善が見られ、すべての指標において前回の調査結果から改善しました。ただ、輸出入を行う企業は、比較的安定的に前向きな見通しを維持しました。



2021年第4四半期の事業見通しは、すべてのセクターにおいてポジティブでしたが、その度合いは様々でした。工業、建設、倉庫、リテール販売の景況感は、その中でも上がり調子でした。今後12か月の信頼感指数も、すべてのセクターにおいてポジティブでした。



第4四半期、事業活動規模の見通しについては、建設、卸・小売、サービス業の見通しが弱まったことにより、楽観的な見方がやや弱まりました。一方で、今後12か月間の事業活動規模の見通しは、工業、建設、サービス業の見通しが改善したことを受けて、上向きになりました。



この企業期待値調査は、2021年7月22日~9月15日にかけて行われたもので、国内の1,511社が対象となっています。うち584社が首都圏、927社はメトロマニラ外で、国内の16地域すべてを網羅しています。



サンプルは、ベルギーのBureau van Dijk社のデータベースから、2016年の総資産をもとにしたトップ7,000社から採取されました。



今回の調査の回答率は前回の66%から下がって60.6%となりました。中央銀行は、データの収集が行われたのが厳しい行動制限が行われているときだったので、それが回答率に影響を与えたのではないかと見ています。



(出所:Business Inquirer

(画像:Image by Andreas Breitling from Pixabay )